あるTV番組で、三島由紀夫と親交のあった美輪明宏が、三島由紀夫が死の前にたくさんの赤い薔薇の花を持って楽屋を訪ねて来て、美輪明宏がお付きの人に幾つもバケツを用意させて、そこにその薔薇の花束を入れたという逸話を語っておりました。そうして、この言語藝術家は、別れ際に、自分の人生に於いて美輪明宏という人間に出会ったことに感謝の言葉を告げ、もう会うことはこれからはないので、これからの時間の中で贈る分の薔薇の花を一度機に君に届けたのだといって、ある諧謔の口調も交えた此の作家らしいものの言い方をして、楽屋を出て行ったということでした。 これ以外にも、死の前に、この作家は様々なひとに、このように直接にであれ、電話であれ、手紙であれ、お別れの挨拶を贈っております。 さて、安部公房にはどうやって、三島由紀夫は別れの挨拶をしたのでしょうか。それは、やはり安部公房と同類の、安部公房の言葉によれば「言葉によって存在する」作家として、三島由紀夫は『春の雪』の中に、安部公房のアイコンであるもぐらを登場させたのです。 それも実に残酷なやり方で。 しかし、これが言語藝術家というものです。1966年の二人の対談『二十世紀の文学』の、トーマス・マンなどのヨーロッパの作家たちの残酷さについて論じている箇所を読めば、それはよくわかります。 さて、そうして、安部公房はいつ三島由紀夫に最後の挨拶をしたのでしょうか。 これらのことをまとめた論考です。 短いながらも、三島由紀夫、安部公房、いづれの側の読者からみても興味深い論考になっていると自負しております。 是非お読み戴ければと思います。
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