この論考は、今まで誰もなすことができなかった、安部公房の日本文学史上での位置を明確にした画期的な論考です。 その単純明快な視点をあなたにお伝えします。 明治時代の文豪、夏目漱石の『こころ』と、昭和時代の安部公房の芥川受賞作『S・カルマ氏の犯罪』が、日本の近代文学史の中では、同じ系列の作品であることを論じた、普通にはない、珍しい論考です。 前者が古典ではなく、今も読まれ続けているのであれば、後者は既にして最初から古典であり、後者が今も読まれ続けているのであれば、それが故に、前者は最初から既にして、明治時代において古典であったのです。 前者の登場人物の先生が本名を呼ばれずに最後まで無名のひとで終わること、そうして、この無名の登場人物が、最後に遺書という手紙を残す事、即ち遺書という手紙は、死者が生者に宛てた言葉だということ、他方、後者は、その作品の代表作においては、いつも手紙という形式を使ったこと。 これらのことも含め、激動期の時代の日本語の作家の共通する問題と激動への対処の仕方について、夏目漱石と安部公房を比較し、論じることで論じた論考です。 余りに、今までの安部公房論者は、先の戦争の後の時代に意識と思考を拘束され、安部公房をその限られた時間の中でだけ論じ過ぎました。それでは、安部公房の全貌を知ることはできません。 この論考では、安部公房をその時代的な制約から解き放ち、安部公房と夏目漱石の無名の猫を最後に比較し、そこに至るまでの過程で、三島由紀夫全種の編集委員でいらっしゃる田中美代子さんの後衛の無い前衛などあるわけがないという鋭い指摘、福田恆存の近代文学の欠落した文学概念の明解な指摘、三島由紀夫と安部公房の対談などを考察して、安部公房の近代文学のみならず、平安時代にまで遡って、安部公房の日本文学史上の位置を明らかにしたものです。 今までに例のない安部公房論です。 安部公房の、日本文学史上の位置を確定し、特定した一書です。 本当に安部公房の好きな方に、是非お読み戴きたいと思っております。
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